神の見えざる手の機能不全 AIが人から本当に奪うもの

 私が読書や書き物をする時、隣に置いておく年表がある。1996年に出版された「情報の歴史(増補版)」である。知識を得た者が他者に伝えることを「情報」という。情報の歴史のスタートを象形文字とし、締めくくりを人工知能としている点に監修者松岡正剛氏のセンスと先見性を感じる。 1770年代のページをめくると、76年にアメリカが独立宣言をしたことが真っ先に目に入る。そして、アダム・スミスが同年に「国富論」を出版している。その中で、彼は資本主義にとって重要なキーワードとなる「神の見えざる手」という言葉を残した。 資本主義では、投資家は資産運…