脳からの刺激のような電気信号、脊髄に 歩く機能が改善

 脊髄(せきずい)損傷の患者の脊髄に電極を埋め込み、脳の意図に基づく電気信号を伝えながらリハビリを行ったところ、歩く機能が改善したという研究成果を、スイス連邦工科大学ローザンヌ校などの研究チームが発表した。リハビリでの活用などが期待されている。論文は1日、英科学誌ネイチャーに掲載された。 通常、脊髄を損傷すると脳からの電気信号が足に届かなくなる。研究チームは、足を動かすという患者の意図を反映するような電気信号を、足の動きの計測データやコンピューターシミュレーションなどを活用して作り出した。 患者が動かしたいと思うタイミングに合わせて、この信号を脊髄に埋め込んだ電極に流すことで、あたかも脳から刺激されたような状態にした。 脊髄損傷になって4~6年の20~40代の男性3人に、この方法で5カ月間リハビリをしたところ、いずれも運動機能を示すスコアが改善した。動かなかった足が動くようになった患者もいた。痛みなどの感覚でも改善が見られた。手でも同様の効果が確認された。 脊髄損傷は、iPS細胞を使った治療法の研究も進められている。脊髄損傷のリハビリに詳しい国立障害者リハビリテーションセンター研究所の河島則天さんは、「今回のような技術の進歩が再生医療の成果と融合すれば、患者が再び歩く機能を取り戻すことも夢ではないだろう」と話す。(戸田政考)