生物の進化をマネ、医薬品の開発に有用なたんぱく質を生成 ノーベル化学賞

 2018年のノーベル化学賞は米国のフランシス・アーノルド(62)とジョージ・スミス(77)、英国のグレゴリー・ウィンター(67)の3氏に決まった。生物の進化をまねることでバイオ燃料や医薬品の開発に有用なたんぱく質をつくる手法を開発した。 アーノルド氏は、「指向性進化法」と呼ばれる自然界で起こる「選択」に似た方法で、さまざまな酵素を改良する手法を確立した。 東京大学大学院総合文化研究科の新井宗仁教授は「洗剤に入っている酵素など、たんぱく質が壊れやすい環境でも働くように安定した酵素を作り出した。私たちも微生物から軽油をつくる研究を進めている」と話す。かつてアーノルド氏の研究室に在籍し共著の論文もある産業技術総合研究所の宮崎健太郎研究グループ長は「常に厳しく『なぜ』を問いつめる人で、若い人とも同じ目線で議論する人だった。そんな姿勢が今回の受賞につながったと思う」。 スミス氏の開発した「ファージディスプレー」という技術は、抗体医薬などの開発につながった。ねらった標的に最もよくくっつく抗体を取り出す手法。ウィンター氏はリウマチなど自己免疫の病気に使われる「ヒュミラ」の開発につなげた。 抗体医薬は乳がんなどの治療にも適用されている。東京大の菅裕明教授は、「彼らの技術は、抗体医薬の開発を加速させた」と高く評価。本庶佑氏が開発にかかわった免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」の開発にも役立てられたという。